611「野垂れ死に」元木昌彦著(現代書館)

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昔から、本は作家と題名と装丁を見て購入していました。今回は、題名と副題が購入動機でした。
 611「野垂れ死に」元木昌彦著(現代書館)
題名は「野垂れ死に」で副題が「ある講談社・雑誌編集者の回想」です。この題名と副題の絡み具合がなかなかよいじゃあありませんか。「野垂れ死に」とは書いてあるが、死んではなさそうですし、編集者ってことですので、いろいろな視点が見られそうです。

著者元木昌彦は講談社に入社して、編集者の道を歩んで、紆余曲折の末に編集長になった。それも週刊誌「フライデー」の編集長だ。「あんな雑誌は潰すべきだと社内で言っていた当人が編集長になったのである。なかなかの人事というべきか。

雲仙普賢岳・ジャニーズ事務所・宮沢りえ・・・いろいろ書かれていますが、
「さよなら原発」一千万署名市民の会の呼びかけ人のひとりでもあり「戦争をさせない1000人委員会」の発起人の一人でもあるフリーライターの鎌田慧にその20年前に雲仙普賢岳のルポを依頼して、取材をめぐって新聞社とやりあった下りは白眉です。

ライバルである週刊文春との関係も微妙なあやがあって面白い。

週刊現代編集長になった際には、小沢一郎・オウム真理教・立川談志・・・などを取り上げ、これらも面白く読めますが、
週刊現代の編集長最後の特集は1997年の「一万人アンケートを実施 日本国憲法は改正すべきでない」でした。
当時橋本政権下でアンケート結果は、改正すべきでないが半数を超えたようですが、僅差であることに微妙な気持ちが伝わってきます。

以後講談社を離れ、いろいろな雑誌を手掛けてきたようですが、原発事故と東電の対応などの裏側の断面がリアルに書かれています。

自伝ですので多少自己PRの感もないではないですし、文筆家ではないので文脈などには過不足が目立ちますが、それは雑誌編集者ゆえのメリハリのある書き方と擁護しつつ、奮闘してきた姿には敬意を表したいと思います。

  TVも新聞もインターネット記事もそれそれに多少の偏向がありますので、いろいろな角度から情報を得ようとしている陶酔人




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