428:文楽「あばらかべっそん」 150709

陶酔人

2015年07月10日 00:09

記事427で八代目桂文楽の「あばらかべっそん」に触れましたが、その続きです。
 
なかなか味のある古本(青蛙房)です。

落語といえば、「志ん生」「小三治」などの「ふら」のある噺家が好きです。きっちりとした噺家では「円生」や、「芝浜」で鳴らした時代の「談志」が好きなのですが、どうしても「文楽」だけは好きになれなかった。
芸がきちんとしているのは承知しているのですが、演じている「笑い方」に共感が持てなかったのです。たとえば「酢豆腐」の若旦那の笑い方などに違和感を感じていたのです。
「愛宕山」の幇間一八の山登り・竹のしごきなど情景がリアルで、高座で見られたらさぞかしすごかったろうと思います。
それでも好きになれないのは、きっちりしすぎた芸にかえって冷たさを感じがするせいなのかもしれません。
 
今回「あばらかべっそん」を読んでみて、その人生に驚かされました。芸風とは雲泥の差で、飛んだり跳ねたり、破天荒なことおびただしい。文楽の芸談をまとめた本なのですが、色っぽかったり、江戸っ子の粋の極まりのような気風のよいセリフが多かった。

残された文楽のCDからは想像ができません。

松岡正剛は「文楽は見なければすごさがわからない」と千夜千冊に書いています。その通りでしょうが、これはどうしようもありません。

残されたCDでもう少し文楽を聞きこんでみようと思っている陶酔人

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