347:五嶋みどり礼賛(その3) 130828

陶酔人

2013年08月28日 20:46

記事340(五嶋みどり礼賛その2)で紹介したCDにカップリングしてあったのがバルトークのヴァイオリン・ソナタ 1番でした。聞き始めはいかにもバルトークらしく違和感ありありでした。ですが、バッハの無伴奏の感動のままに続けてバルトークを聞いていいるうちになかなかいいかもと思っている自分に気づきました。
 
バルトークの音楽は、普通全然馴染めない。どうしてこんな不協和音を譜面に書くのか?いいフレーズだって時々あるのに、それが続かない。基本的にハーモニーにならない・・・弦4にしても、打楽器にしても、「音が楽しくない」ですし、妙な例えですが、大江健三郎の文章・ピカソの絵をついつい連想してしまいます。

ところが、この五嶋みどりのバルトークの無伴奏バイオリンを聞き込むうちに第3楽章の躍動感に感じ入っている自分に気付きます。第1楽章・第2楽章は割りとバルトークらしい押し殺した曲が続きますので、普通なら途中で聞くのを止めたくなってしまうのですが、バッハの無伴奏の余韻で今回は聞き続けています。

そして、いよいよ躍動感ある第3楽章になります。バルトークにしてはめずらしく、その躍動感が継続していて引き込まれて聞き続けています。

この辺も大江健三郎の小説に似ているかもしれません。もっとも前衛になったピカソの絵だけは、何回見ても馴染めません。

 
おまけですが、ムローヴァのバルトークも聞いてみましたが同じくすばらしい演奏でした。五嶋みどりだけがすばらしい訳ではないということも分かりました。ムローヴァのカップリングのバイオリン協奏曲には感動はありませんでした!結局バルトークはこの1曲(バイオリン・ソナタ第一番)だけが気に入ったのです。

マイノリティをひた進む陶酔人

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